五月の雨音に溶けて消ゆ

poppy

 

5月17日、同じ日に同じ肺ガンで、女性二人が亡くなった。

一人は四国の親戚筋の60代の女性。

もう一人は、闘病仲間でもあった58歳になったばかりの、

気丈夫だが、とてもオシャレで粋な女性。

よく笑いながら「私の余命はあと半年なのよ!」 と言い放ちながら、

好きなファッション画を描いたり、

見舞いで差し上げた小生の絵本を見て、

まだ見ぬ孫のために「私も絵本を作りたい!」と、

素人とは思えない素敵な絵を描いておられた。

脳や腰の骨に転移して苦しい最中でも、お見舞いに行くたびに増えていた。

あと数編の詩と、奥付の言葉をいただければ、絵本は完成したのだが・・・

仕上がりを愉しみにされていたのに、さぞ無念だったことだろう。

今頃は、ドイツのLindheim村のポピー畑に飛んで

愛息愛猫と思いっきり戯れているに違いない。

私がその女性から教わった唯一のドイツ語はProst!(乾杯)なのだが、

自由に大空を駆け、日本とドイツを行き来する彼女に大声で叫ぼう。

Prost!


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