散る桜

詩集『残る桜』 能芝 隆著 思潮社 2002年 絵:渡辺信喜

詩集『残る桜』 能芝 隆著 思潮社 2002年 絵:渡辺信喜

 

◉大震災から1ヶ月が過ぎ、なを余震で揺れる続ける日本列島。放射線汚染ではドサグサ紛れにチェルノブイリと同じレベル7に引き上げられた。これでは最悪のシナリオになるのではないかと、不安で夜も落ち着いて寝られない日々ではある。昨日の大震災に亡くなられた方々への黙祷中に、此の地では天のイカズチもゴロゴロと叫んだー黙祷くらいで彼の魂は鎮まるものかと・・・。そして桜が舞っている。

◉桜が散る頃になると、能芝隆が遺した詩集『残る桜』を思い出さずにはいられない。死期を悟った能芝から私に託された遺言書でもあったが、毎年春になると嫌でも思いだす。残された者との見事な再会装置でもあったのだ。

 

残る桜(一)        残る桜(二)

花冷えの          さんざめく

しだれの枝に        露を着て咲く

つたい落つ         残り桜(はな)

か細き雨の         はなの香は夢

もろもろの夢        夢はひとの香

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